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令和4年度 最低賃金の改定について

令和4年度 最低賃金の改定について

今月は、最低賃金の改定についての最新情報をお伝えいたします。

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  令和4年度 最低賃金の改定について
・ “最低賃金”とは?
・ 最低賃金に含まれる賃金、含まれない賃金
・ 最低賃金について企業が押さえておくべき3つのポイント
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2022年度の地域別最低賃金の引上げ額が、地域によって30円~33円になる予定であると発表されました。
改定日については10月1日以降、都道府県ごとに順次発表される予定です。

改定前 改定後(予定)
東京都 1,041円 → 1,072円
神奈川県 1,040円 → 1,071円
埼玉県 956円 → 987円

政府の「働き方改革実行計画」(平成29年3月28日働き方改革実現会議決定)による「年率3%程度を目途として、名目GDP成長率にも配慮しつつ引き上げていく。
これにより、全国加重平均が1000円になることを目指す」との方針のもとで、今年度は過去最高の引き上げとなります。
参考|厚生労働省『令和4年度 地域別最低賃金 答申状況 』

*“最低賃金”とは?
最低賃金とは、法令で定められている「労働に対して支払わなければならない1時間あたりの最低限度の賃金」をいいます。
企業は、正社員・パート・アルバイトなどの雇用形態に関係なく、すべての従業員に最低賃金以上の賃金を支払わなければなりません。
最低賃金を下回る賃金を支払っていた場合は、労働基準関係法令違反に問われ、50万円以下の罰金が課せられることもあります。

* 最低賃金に含まれる賃金、含まれない賃金
最低賃金の計算に含まれる賃金は、従業員に毎月決まって支払われる基本給や各種手当です。
月給制や月額手当があるときは、1時間あたりの賃金を計算し最低賃金を上回っているかを確認する必要があります。
ただし、以下の賃金は最低賃金の計算から除外されます。残業代の計算とは異なりますのでご注意ください。

【最低賃金から除外される賃金】
①慶弔手当など臨時的に支払われるもの
②賞与
➂残業手当(固定残業代)、休日手当、深夜手当
④精皆勤手当
⑤通勤手当
⑥家族手当
1時間あたりの賃金計算は残業代の計算にも使用されますが、残業代の賃金計算には④精皆勤手当を含めます。
また、④精皆勤手当、⑤通勤手当および⑥家族手当について、従業員に一律で支給している場合は、最低賃金と残業代いずれの賃金にも含めます。

<例>
・遅刻、早退、欠勤などがあっても精皆勤手当を満額支給(減額なし)している
・扶養家族がいる、いないに関わらず家族手当を支給している など

* 最低賃金について企業がおさえておくべき3つのポイント
①最低賃金の発行(改定)年月日をまたぐ勤務の扱いについて
3交代勤務制などでは、夜勤シフトの従業員が最低賃金の改定日をまたいで勤務することがあります。
最低賃金は、都道府県ごとの発行(改定)年月日以降に勤務する給与から適用します。
そのため、最低賃金の改定日をまたいで勤務をした場合は、0時より新しい最低賃金の適用となるように給与を計算してください。

<例> 勤務日:9月30日 勤務時間:21:00~ 翌朝5:00 (最低賃金改定日:10月1日)
   改定前の最低賃金を適用する時間:21:00 ~ 0:00
   改定後の最低賃金を適用する時間:0:00 ~ 5:00

②遠方で自宅テレワークをする従業員の最低賃金について
インターネットの普及や新型コロナウイルス感染症の影響により、企業の所在地から離れた自宅でテレワーク勤務をしている従業員もいます。
最低賃金の適用は事業場の場所によって決まりますが、事業を行う独立性を有する一つの事業場と認められないときは、所属する事業場の所在地を対象と考えます。
そのため、自宅でテレワーク勤務を行う従業員に適用する最低賃金は、テレワークを行う場所がどこかに関わらず、テレワーク勤務を行う従業員の所属する事業場の所在地がある都道府県になります。

<例> 企業の所在地:東京都  テレワーク勤務者の自宅:埼玉県
   最低賃金の適用:東京都の最低賃金

③毎月、所定労働時間が変動する場合の月給者の最低賃金の計算方法について
暦日数の関係やシフト制、変形労働時間制を適用している場合など、1か月の所定労働時間が変動することがあります。
月給者の最低賃金は、1年間における1か月の平均所定労働時間を使い計算してください。

企業は、最低賃金の改定を社内に周知したうえで、最低賃金の適用を受けている従業員の賃金を改定し、雇用契約書を変更する必要があります。
最低賃金による固定残業手当の計算にも影響するため、雇用契約書に記載された「固定残業手当 ●円(●時間分)」の金額や時間数を調整します。

最低賃金の改定により賃金が上がると、労働保険料(労災保険・雇用保険)、社会保険料(健康保険・厚生年金保険)の負担も増えます。
どのくらい負担が増えるのか早めに確認をして、人件費を検討していきましょう。
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