新着情報

外国人材の雇用

外国人材の雇用

昨今は外国人労働者数が増加しており、人材確保のためにあえて外国人の採用を意図していなくても、通常の採用募集の中に外国人からの応募が含まれることがあります。御社が外国人を採用するために海外から計画的な受け入れを準備しているのではなく、国内在住の外国人から予期せぬ応募があったというケースが想定できます。

外国人の就労が許可される在留資格別では、南米出身の日系3世等の「定住者」に加えて、高等教育を受けた人材(いわゆる「技術・人文知識・国際業務(技人国)」)、資格外活動(アルバイト)を行う留学生、「育成就労」への制度変更を控えた技能実習生、特定技能者(後述)などが増加しています。国籍別で見ると、ベトナム・ミャンマー・インドネシアなどアジア諸国からの出稼ぎ労働者が多いことは、日常生活を通じても体感的に理解できるのではないでしょうか。

厚生労働省が公表した令和7年10月末時点の外国人労働者数は2,571,037人で、前年比268,450人増加(対前年増加率11.7%)となりました。また、外国人を雇用する事業所数は371,215所で、前年比29,128所増(対前年増加率8.5%)となり、いずれも過去最高を更新しています。

厚生労働省「外国人材材雇用状況」の届出状況まとめ(令和7年10月末時点)
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_68794.html

本号では、国内で一定の就業経験を持つ外国人(以下、「外国人材」)が採用募集に応募してきた場合の対応についてご案内いたします。なお、原則として転職が許可されない技能実習生のほか、資格外活動の許可を受けてアルバイトを行う留学生や卒業後に日本での就職を希望する留学生は除いて考えます。

【お伝えしたい内容】

1. 在留資格

世界の国々は国家の独立を守り、国民の生命・身体・財産、あるいは経済的・社会的利益を他国による脅威から守ることを目的として、外国人の出入国を管理しています。出入国管理を担う行政機関や関連する在外公館は、外国人の申請に基づき、本人の旅券(パスポート)が真正かつ有効であること、また観光や商用などの目的で入国しても支障がないことを確認したうえで「査証(ビザ)」を発行します。

外国人が中長期の滞在を予定する場合には、入国許可とともに、滞在中の活動が経済的・社会的に与える影響を踏まえて、就労の可否を含む在留資格と期間を定めた在留許可が交付されます。国によって在留許可の種類や手続きは異なりますが、外国人材を雇用するにあたってはこの仕組みを理解することが基本となります。

日本では外国人材に対して一定数の上限を設けることで、「技能実習」や「特定技能」といった就労可能な在留資格の種類を拡大してきました。周知のとおり、「技能実習」は日本での技術習得や人材育成を開発途上国へ移転するという国際貢献を目的とした制度でした。しかしながら、労働環境の不備などを背景に技能実習生が失踪する事例が積み重なったことから、2027年4月を目途に「育成就労」への制度変更が予定されています。

「特定技能」の在留資格は、介護や建設などの人手不足が深刻化している分野で、即戦力となる外国人材を受け入れることを目的として2019 年 4 月に創設されました。今後の外国人政策の動向によってこの制度についても見直される可能性がありますが、同じ業務区分の範囲であれば転職が可能です。また、技能の熟練度が高い上位資格を取得すれば長期間の就業滞在や本国からの家族の呼び寄せが認められる仕組みとなっています。

なお、就業が可能な在留資格のうち、名称が似ている「特定活動」は「特定技能」とは異なる制度です。「特定活動」は個々の外国人について個別に指定された範囲での就業を許可するもので、難民認定申請中の外国人、卒業後に就職活動を行う留学生、経済連携協定(EPA)に基づく看護師・介護福祉士候補者などが該当します。

【参考】東京労働局職業安定部「外国人材の雇用に関するQ&A」令和7年度
https://jsite.mhlw.go.jp/tokyo-roudoukyoku/content/contents/002308699.pdf

2. 採用選考

御社の採用募集にあたって、他社での就業経験を持つ外国人材が応募してくる場合、「技人国」や「特定技能」の在留資格を持っているケースが多いと思われます。当初は外国人材を採用する考えはなかったものの、応募者が集まらず員数確保の見通しが立たない、外国人材かどうかに関係なく仕事が出来ればよい、日本在住の外国人材であれば職場にも溶け込めるだろう、と行った理由から採用選考を進めることがあるかもしれません。

例えば、外国人材がハローワークや人材会社の外国人材向けサービスを利用して応募してくる場合、一次的な審査を経ているとはいえパスポート、在留カード、裏面の住居地記載欄、技能資格などについて最低限の確認を行う必要があります。それでも、応募資料として履歴書や職務経歴書の提出を求めることは通常容易ではありません。

外国人材が働くうえで日本語能力は大きな要素ですが、滞在年数が短い場合には、簡単な日本語能力試験(N4レベル)に合格し、日常会話で意思疎通ができる程度と考えておくほうが現実的です。基本的な日本語教育は平仮名の読み書きから学ぶことが多いため、実際には漢字やカタカナ、ときには和製英語が混在する資料を読み解くことは困難です。

通常の採用面接と同様に、来日前後の経緯や前職の内容などを質問すること自体に問題はありません。しかし、外国人材がその日本語を理解できたとしても、面接質問の意図や背景を踏まえて的確に受け答えすることが難しいケースがあることも理解しておく必要があります。この意味において、筆記形式の適性試験や基礎能力試験の実施は現実的ではないこともあります。

他方で、採用募集の仕事内容についてはできるだけ具体的に説明する必要があります。「どんな仕事かわかっているはず」、「稼げる仕事ならば多少我慢するはず」といった思い込みがあると、内定を出しても辞退される、あるいは働きはじめてもすぐに退職してしまう可能性があります。そのため、採用試験を省略する場合でも簡単な実務・実技試験などで力量を確認するほうが確実といえます。

公益財団法人東京都つながり創生財団「やさしい日本語とは」
https://tabunka.tokyo-tsunagari.or.jp/yasanichi/about.html

3. 受入体制

初めて外国人材を雇用するにあたっては、配属先の事業所や職場で社員の意見を聞きながら、受入体制を工夫する必要があります。人材不足に悩んでいたとしても、経営トップと現場の間で外国人材の雇用に対する意識がかけ離れていれば、円滑な採用や定着は期待できません。外国人材を受け入れて一緒に働く社員の理解と協力を得ることが重要です。

外国人材の雇用が人材確保の選択肢として重要であること、良い人材を見つけて採用したいこと、異文化の壁を超えて差別的な意識を持たないこと、そして仕事仲間として受け入れてほしいことなどを説明し、現場で想定される課題を共有することから取り組みます。面倒見のよい社員を指導員に選任し、やさしい日本語の使い方や異文化理解の研修を受講してもらう方法も考えられます。

とくに外国人材の日本語能力が高くない場合には、繰り返しの点呼や指導を通じて孤立させないよう配慮することも大切です。複数名の外国人材を採用する場合は、できるだけ国籍や母語が同じ人材を配置することで、互いに助け合う関係性も期待できます。職場配属後に外国人材が抱く疑問や不満を共通言語で相談できることや、日本のマナー・ルール・考え方を学び共有し合えることで、人材の定着にもつながります。

【参考】東京商工会議所「外国人材活躍解説BOOK」2020年2月
https://www.tokyo-cci.or.jp/survey/various/field/image/hyoshi2_1021346.jpg

外国人材の生活面では、住居に困らないよう社宅を用意すること(借上社宅)、母国の家族に仕送りをしている場合には一時帰国の費用を援助すること(航空券)、イスラム教のムスリムに対して礼拝や食事への配慮を行うこと(毎日の礼拝、豚肉を食べない)など、本人の希望に可能な範囲で応えることも必要になります。

基本的なことですが、外国人材であっても法令により労働条件面での国籍による差別は禁止されています。外国人であることを理由に低賃金とするなどの差別的対応は認められないことに留意しなければなりません。日本人と同様に労働基準法・最低賃金法・労働安全衛生法・労災保険法(労働者災害補償保険法)・雇用保険法などが適用されます。

to top