会社カレンダー

「会社カレンダー」とは、会社の行事や業務、休日を記載した1年間のカレンダーを指します。決算期、創業記念日、健康診断、防災訓練、盆休み、年末年始など、年間の見通しを立てて業務を円滑に遂行するために社内全体で共有されます。

例えば、特定の期間において需要が高い季節商品を販売する場合、小売・サービス業は販売期間に合わせてシフト人数を増やす、卸売業は商品在庫を確保し出荷配送を手配する、メーカーは生産予定を計画・調整するなどのように、会社カレンダーを拠りどころとして業務運営が組まれていきます。

部門単位で見ても、経理部門が月次決算を提出する、営業部門が販売会議を招集する、人事部門が給与支払の作業をするなどの目的で、会社カレンダーが使用されているはずです。
また、カレンダーをもとに従業員が連休を当てて、帰省や旅行を計画することもあります。

基本的な会社カレンダーは、暦年の始まりである1月1日や事業年度の始まりである4月1日より起算し作成された、年間の休日だけを記載したシンプルなものです。業態によって違いはありますが、通常であれば国民の祝日は休日とされます。

「国民の祝日に関する法律」で定められた祝日は年間で16日ありますが、国立天文台が毎年2月の官報で発表している暦要項によって、翌年の春分の日と秋分の日の具体的な日にちが確定されます。国民の祝日が日曜日に当たる場合に振替休日が設定されることも、既知のとおりです。

本号では、働き方改革をテーマとするRIMONOレターの視点で、働き方と休み方の関係性についてお伝えいたします。

【お伝えしたい内容】

1. 休日と休暇の違い

労基法第35条では、会社は従業員が労働義務を負うことのない「法定休日」を、毎週少なくとも1日または4週間を通じて4日以上設けなければなりません。「法定休日」は0時から24時まで継続した暦日単位であることが必要ですが、毎週日曜日を休日にするか、あるいは国民の祝日を休日にするかについては決まりがありません。

とはいえ、労基法第32条では労働時間の上限が1日8時間、週に40時間と定められています。「法定休日」のみでは時間外労働が発生してしまうため、会社は法定休日に加えて、就業規則にもとづく「所定休日」を一般的に設けています。「所定休日」の日数は、従業員の健康や生活の余裕を確保する考え方などにより、会社ごとで大きく異なります。

上記の休日に対し、労働義務を負う日に従業員の申請にもとづいて会社が休ませる制度を「休暇」、賃金が支払われる休暇を「有給休暇」と言います。休暇についても、法令の要件を満たす場合に必ず付与しなければならない休暇(労基法第39条)と、会社が就業規則等に基づいて任意に付与する慶弔休暇(特別休暇)などがあります。

このように、休日と休暇の違いを認識しておくことは大切です。長年にわたって有給休暇が十分に取得されていない就業実態を改革するため、会社は従業員に対して、有給休暇付与日を基準として1年以内に5日の年次有給休暇を取得させなければならない義務を負うことになりました(有休取得義務化、労基法第39条7)。

2. 年間休日数と労働生産性

度々指摘されるように、日本の有給休暇日数は欧州諸国に比較して少ないのですが、国民の祝日と振替休日を合計すれば、年間休日数での大きな差はありません。ちなみに欧州経済の中心であるドイツでは、有給休暇は30日付与され、従業員が夏季の長期休暇を交代で取得することでほぼ100%取得されています。一方で、国民の祝日は7日のみです。

政府統計の就労条件総合調査
https://www.e-stat.go.jp/dbview?sid=0003248225

日本では有給休暇の平均付与日数は18日程度、平均取得日数は10日程度ながら、国民の祝日は16日+振替休日も定められています。有休取得率が低い反面で、昭和の日、みどりの日、こどもの日、敬老の日、山の日、海の日、スポーツの日、文化の日などの国民の祝日にしたがって小刻みに休むということは、労働生産性を確保する点では不利になっているとは言えないでしょうか。

暦日のカレンダー通りに国民の祝日に業務を休止すれば、再び立上げるのに時間と労力を使うため、結果的に作業効率が落ちます。休日を見込んで納期に間に合わせようとすれば、残業が発生することもあります。

この意味において注目度の高い「トヨタカレンダー」では、週の始まりを月曜日からにし、週5日の就業日と土日2日間の休日が繰り返されます。

国民の祝日を休まない代わりに、就業日となった祝日の日数をゴールデンウィーク、盆休み、年末年始に充てて、まとまった休日を設定しています。通常よりも長い休日を作ることができるため、従業員の健康や生活のペースを保つという意味においても利点があるはずです。

トヨタ自動車東日本株式会社 2024年度カレンダー
https://www.toyota-ej.co.jp/images/company/calender/calender_2024.pdf

社内を見渡すと「やるべき仕事があるから休みたくない」、「休んでもやることがない」、「働けば稼げるのだから」と思考停止の状態に陥っている従業員がいるかもしれません。しかしながら、経営としては労働生産性を向上させる視点から、従業員の休み方と休ませ方を工夫すべきであると考えられます。

3. 変形労働時間制、計画年休制度

業務の繁忙・閑散の格差が大きい時に、所定労働時間を調整しつつ、時間外労働・休日労働を抑制するため、1か月単位の変形労働時間制(労基法第32条の2)や1年単位の変形労働時間制(労基法第32条の4)を採用することができるのは、ご既承のとおりです。

変形労働時間制を採用する場合は、就業規則を定めたうえで対象労働者、対象期間および起算日、労働日および労働日ごとの労働時間を設定した会社カレンダーを作成すること、週の平均労働時間を40時間以下の範囲にすること、労使協定を締結・届出することなどが条件になります。

1年単位の変形労働時間制では、業務の繁忙・閑散によって1日の所定労働時間を延長・短縮する、あるいは1日の所定労働時間を一定にしたまま労働日の日数を変える(例えば、繁忙期の土曜日や祝日を労働日とする)ことも可能です。小刻みな国民の祝日によって業務を休止させないよう、そして労働生産性を損なうことがないように、変形労働時間制をむしろ利用すべきであると考えます。

厚生労働省「1年単位の変形労働時間制」
https://www.mhlw.go.jp/content/11200000/001074553.pdf

有休取得義務化に対応して、伝統的な盆休みや年末年始の休日を就業日に変更したうえで、有休取得奨励日に指定するといった動きが一部で喧伝されました。 しかし、反対の意味では休むときはまとめて休む、しっかり休養するという工夫が望ましいはずです。有休取得義務化にもとづいて個人単位の休暇取得を促すことや、全社およびグループ単位の計画年休制度を採用し、会社カレンダーに盛り込むこともできます(労基法第39条第6項)。

厚生労働省 働き方・休み方改善ポータルサイト
https://work-holiday.mhlw.go.jp/

変形労働時間制、計画年休制度を利用することで、御社の事情に合わせて労働生産性を引き上げられるよう、会社カレンダーの作成・見直しを検討されてみてはいかがでしょうか。

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